2011年12月11日「意外な人の回心」兼松 一二師 : 使徒の働き 13章1‐12節

私は時に不思議に思うことがある。

教会の外に小さな花が咲いている。この同じ種類の花は皆同じにみえる。ところが動物は同じ種類であってもみな違ってみえる。例えば散歩すると犬に出逢う。同じシバ犬でも、印象がみな違う。人間もそうです。頭が上で、マツゲがあり、目があり、鼻がある。同じ位置にあるのに、印象はみな違う。おもしろいもんです。

実は、キリスト教会もそうです。同じキリスト教会ながら、エルサレム教会(12:25)、アンテオケ教会(13:1-3)は受ける印象といい、内容がみな違う。

 

第一に、アンテオケ教会はどんな教会かを見たい。1-3節、

この教会はどれほど大きいのかは分らない。しかしこの教会はとても豊かな、富んでいる教会であることが分る。1節に5人の名前が出てくる。この5人の人々の中に、多分ヘロデと共に育ったマナエンがいた。ヘロデ王と共に育ったということは世間の栄誉をもっている人、身分の高い人です。それ以上に、この教会には「預言者や教師がいた」。

 

預言者は、神の言(ことば)をしっかりと語る人です。しかも今、目の前にいる人々にしっかりと、はっきりと神の言を語り、人の心に神さまの心の内を語っていく。そして神さまのさばきと救いのことばを語る人です。罪の悔い改めの勧めをなしていく人です。教師は聖書を解釈して教えていく人。また信仰生活を教え導く人です。これは神さまからの賜物です。賜物にも沢山あるが、重要で高度な賜物です。そういう人が5人もいた。

 

11章27-30節、アンテオケ教会は、困難な他教会を支え、助けようとする心をもった教会です。

私は38歳の時初めて外国に旅する経験をもった。その旅の途中、とても感動した場面があった。アウグスブルクという町にある教会に行った。丁度その朝、教会員がアナウンスをした。「昨日、ある国で大地震がありました。大変な状況です。支援したいと思いますので、教会の入り口に募金箱を置きます。支えて下さい」礼拝が終り、帰るときに皆献げていく。それを会計がまとめ、あとで牧師に報告があった。牧師はその報告をきいて「すごい、ありがたい、速く送って下さい」と言う。同じ信仰をもつ遠くの教会の苦しみを思いやる。そこで支援していく。

更に2節「主を礼拝し、断食していると」神さまを心から礼拝している。

礼拝しているとき、一心に、集中して、何もかも気にしないで神を礼拝している。神さまのみことばをきいて、みことばから神様のみ心を聞きとっていく。きいたみことばに確かな反応をし返答をしていく。

「~をしなさい」と言われる神のことばをききとったとき、それに対する返答、応答として3節、断食し祈った。分りました。確かに心得ました、と応答の祈りをささげていく。こういう教会には神さまは存分に働かれ、力を注いで働かれる。神さまは、この教会に出来事を起こされる。

 

第二、確かに主を礼拝していくとき、主はどんな出来事を起こされるか。2節、4-5節。

聖霊を遣わされる。聖霊は、霊なる神です。父なる神、子なる神イエスさま、そして霊なる神、この三つはひとつであるが、聖霊なる神はこの4-5節を見ると、神のことばを宣べ伝えていく力になる。神のことばを人々に伝えていく力は、どこから来るのか。聖霊なる神の働きによる。

私たちは今年、2011年3月11日に福島原子力発電所の事故を通して、原子力というものの力の大きさを恐ろしいほど知らされた。事故が起こる前までは、原子力というものを人間の考えでコントロールできる便利なものと考えていた。「原子力発電のおかげで、新しい家はオール電化できる。クリーンエネルギーです」そういう広告、宣伝を聞いて、原子力発電というものに心がおどった。しかし原子力発電所の事故を通して、原子力という原子の核融合による力というのは、人間の想像ができない程と分った。これは聖霊なる神の働きによる力を説明するのによい例だと思う。聖霊なる神は、神のことばを伝え、人々の心に届けていく力となる。神のことばを人々に伝えていくのは、私たちの勇気でない。能力でない。計画と協力ではない。聖霊が働かれるからこそ、神のことばの真意が分り、その力を知らされていく。

 

第三、神さまへの正しい信仰をもつのも、聖霊の働きによる。6-12節、

この12月から3月にかけて、日本は宗教的雰囲気が高まってくる。その上、社会が不安になり、不安定になると6節「魔術師」がよく出てくる。これは星占い師とも言える。7節、この世の「賢明な人」であっても魔術師、占い師に拠り頼む。重要なことで、何をどうしたらよいのか悩み、すべてが不確かと思うとき、魔術師は8節「(キリストへの)信仰から遠ざけようとした」。10節「主(へ)のまっすぐな(正しい)道(信仰)を曲げる」者です。

 

神への正しい信仰をもたせてくれるのは何か。私たちの理性ですか。違う。

7節、神のことばを聞き(続け)たい、心から神のことばを聞きたい。ずっと占い師の教えを聞いてきたが、聞くたびに迷い、また迷う。そんな自分にもこういうことにも嫌気がさした。確かな神のことばを純粋に聞きたい。この思いは聖霊のお働きによる。

偽りから、迷いから導き出し、主なる神に向かうよう導いてくださいと願いましょう。その意志の中に聖霊が働いています。